全部が相続財産となるわけではない
相続財産にならないもの
相続財産として考えないものには、墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具などがあります。
他には相続人に引き継ぐことができない心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権なども相続財産にはなりません。
また相続人が受け取った死亡退職金のうち一定の金額、相続人が受け取った生命保険金などのうち一定の金額、
相続財産を特定公益信託に支出した場合の額、公益事業を行うものが取得した財産でその公益事業に使用することが確実なもの、
相続財産を国や自治体に寄付した場合の寄付財産も相続財産にはなりません。
祭祀財産
墓地・墓石などの墳墓、仏壇・位牌などの祭具、祭祀を営むための系譜(家系図)は相続財産とは区別されます。
被相続人からの指定がある場合はその者が、指定のない場合は慣習に従って祭祀を主宰する者が継承します。
慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めるとされています。
被相続人による指定の方法は、生前に指定しても遺言で指定しても有効とされ、それらは口頭、書面、明示、黙示のいかんを問いませんが、
一般的には遺言によって指定することが多いです。
なお遺体、遺骨についても、祭祀財産に準じ祭祀を承継する者に帰属するとする判例があります。
香典・弔慰金
葬儀の際の香典は、性質としては相続財産ではなく葬式費用の一部を負担して遺族に対する相互扶助の精神に基づくものであり、
一般的には喪主に贈られたものと解釈されています。
したがって香典は相続財産とはなりません。
弔慰金には死亡退職金に相当するものと香典に相当するものとがあります。
一般的には香典相当の金額であれば香典、それを超えて遺族の生活保障に役立つ金額であれば死亡退職金と考えられます。
特に大きな金額でなければ、これも相続財産として扱えばよいでしょう。